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なーなー様
ルパンサイト”とりあえず次元”より

カウント15,000&一周年記念ダウンロードフリー小説
(実は次元だらけの壁紙とセットで頂いたんですが、壁紙のデータは紛失してしまいました;すみません;;;かわいかったのに・・・)





不二子の場合


けたたましいチャイムの音。

「・・・・なんだよ・・・」

眠りの女神がなかなかはなれてくれないまま、次元はふらふらとドアに向かった。
扉を開けると、もたれかかっていた女がふらりとよろめいた。

「あら、もう寝てたの?早いじゃない」
「目が覚めてて早いっていわれるんならともかく、寝てて早いっていうのはお前ぐらいなもんだよ」

次元は時計を眺め、苦笑いをした。
時刻は午前四時。
宵っ張りのこうもりと早起きの鶏がひょっとしたら出会えるかもしれない時間。

「・・・・それより、中に入れてくれない?こんなところで立ち話もなんでしょ?」

玄関の扉を押さえるようにもたれかかったビィーナスは、にっこりと微笑む。
上から下までじっくりとその姿を見つめてから、次元はゆっくりと道を開けた。

「ありがと」

ふわりと髪をかきあげると、柔らかいローズの香り。
高級なシャンプーだか、フレグランスだかの薫りに混じる、血と硝煙の匂い。
ぼろぼろになった短いドレスと、かかとの取れた高い靴。
そんな姿でもどういうわけか、この女は堂々としている。
歩いた後にバラの花びらが散っていそうな、そんな雰囲気で、薄汚れているアジトの廊下を進む。

「・・・ルパンは?」
「来るのは明日だ」

当然のようにソファに座って足を組む不二子に、次元はブランデーを入れたグラスを差し出した。
軽くうなずくような礼をして、不二子は受け取り一気に飲み干す。

「・・・じゃ、あなた一人でくつろいでたの?」
「ああ」
「ふーん・・・お邪魔かしら?」
「お前が邪魔じゃなかったことってあるのかい?」

救急箱を取り出しながら、次元が苦笑いをする。
医者にいけない怪我が多いせいで、救急箱の中身は充実している。
消毒薬と、化膿止め、包帯なんぞを取り出して、不二子の足元にひざまずく。

「怪我を拝見してもよろしいでしょうか?」
「よろしくてよ」

すんなりと長い足を次元の前に差し出す。
細いだけではない、しっかりとしたそれでいて男の何かをそそらずにはいられないような足を惜しげもなくさらす。
かかとの折れた靴をそっと脱がし、怪我を点検する。

「・・・かすり傷だけだな」
「でも痛いわ」
「当たり前だ、怪我すりゃだれでも痛い」

次元は乱暴に消毒薬をその怪我に振り掛ける。
小さく悲鳴を上げて、不二子が身をすくめるのをちょっと楽しく見つめる。

「もっとやさしくしてよっ」
「いたいのは一緒だ」
「・・・・あなた相変わらず、レディに対する態度がなってないわね」
「れぃでぃ」

次元はわざと言葉を伸ばして、優しくその足を撫でる。

「れぃでぃが、こんな傷作るかい」

じょぼっ

かけられた薬に不二子が悲鳴を上げる。

「・・ぃ・・・ぃたっっっ・・ざけんじゃないわよ、このひげっ」
「ついでに言うと、れぃでぃは、そんな言葉を使わない。なぜなら知らないから」

恭しくもう片方の足をつかみ、そっと靴を脱がせながら、次元は容赦なく薬を振り掛ける。
不二子はその都度悲鳴を上げ、口の中で神を冒涜する言葉をはきながら、されるがままになっている。

「・・・これでいいだろ」
「・・・・・感謝しないわよ、痛かったから」
「痛みがなければ懲りないだろ」
「怪我をしたのは相手が悪かったからよ」
「自分の腕が悪かったんだよ」
「説教でもするつもり?」
「馬に念仏唱えるほうがききそうだよ」

次元は腕の包帯を巻き終わると、薬を几帳面にしまいながら、にやりと笑った。

「・・・・ルパンに言いつけてやる。あんたがひどいことをしたって」
「・・ってことは、泊まってく気だな」
「悪い?ふん、痛くて動けないのよ」

不二子はふてくされたようにそういうと、ソファにごろんと倒れた。
短いドレスから、黒い下着がかすかにのぞく。
次元は小さく首を振ると、置かれたままのグラスにもう一度ブランデーを注いだ。

「飲んどけよ、少しは痛みが和らぐだろ」
「・・・・ふんっ」

そういいながらも素直に口をつける。
とろりとした液体を飲み干すと、目を伏せた。

「・・・・少し寝るわ」
「ああ」
「ルパンが来たらおこしてね」
「ああ」
「・・・・変なことしないでよ」

次元は軽く肩をすくめて、不二子に毛布をかけた。
すでにとろんとした目つきで眠りかけていた不二子は、その毛布に顔をうずめるようにして、寝息を立て始める。
じっと次元はそれを眺めていた。
くしゃくしゃに乱れた髪をそっと撫でる。
泥とすすのついた汚れたほほに触れる。
落ちかけた口紅で青ざめて見える唇をなぞる。

「・・・・・言えよ」

そっと耳元に囁く。

「・・・・言えよ、こんなときぐらい」

にぎやかな車の音が聞こえる。

「素直に言えよ、助けてくれって」

派手な足音と、わめき声。

「・・・利用しようとしないで頼れよ」

銃を確かめる。
弾が入っていることを確認し、予備を補充する。

「・・・こんなときぐらい・・・・俺に頼れ」

ゆっくりと立ち上がる。
ぐっすりと眠る疲れきった闘姫にキスをして。
その前に立ちはだかる。
彼女を守るナイトとして。






次元めちゃくちゃ紳士っぽいですね。我が藩主殿には真似できない振る舞いですね。
大人の男女関係楽しゅうございます。
大人の小説!ありがとうございました!